忍者ブログ
二次創作およびオリジナル小説(幕末~太平洋戦争と、ロマンス)や、歴史に関することなどのブログ
〓 Admin 〓
<< 03   2024 / 04   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30     05 >>
[1]  [2]  [3]  [4
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 マルガレーテ姫がゴートベルグに嫁いできてから、数ヶ月が過ぎた。公は、あの一夜以降、彼女を求めようとはしなかった。昼間は精力的に執務し、夜は寝室まで彼女を送ると、そのまま自分の部屋に引き上げた。私室で何をしているか、姫には解らなかった。おおかた女官か貴婦人と・・そう思うと姫の頬が染まる。あの男が何をしようと自分には関係ないはずだ。いっそこのまま、放っておいてくれればと、彼女は思うのだった。
PR
この地方に、冬が訪れた。陰鬱な季節の始まりである。来る日も来る日も、鉛色の雲が空を覆い、まるで灰色の牢獄に閉じこめられたようである。マルガレーテ姫はため息をついた。
「御気分はいかがですか。マルガレーテ姫。」侍従長のエステルバッハ伯が尋ねた。
「少し退屈なだけ。大丈夫ですわ。この季節にはいつものことです。」姫は答えた。
「それより、リーフェンシュタールの楽士達はいつ参りますの。」
「来月には。」エステルバッハ伯はいった。
「きっと、素敵な晩餐会になりますわ。皆様もお気に召すと思いますわ。」姫は晴れやかな顔をした。
 


楽士達がやってきた。
リーフェンシュタールの宮廷そのままの、粋な出で立ちであった。典雅な楽の調べ、吟遊詩人の語る古の物語、マルガレーテ姫は、その優雅な雰囲気を満喫した。詩人がゴートベルグ公を讃える詩を作った。珠玉の言葉にちりばめられた雅なできである。マルガレーテ姫は嬉しかった。公も喜んでいるに違いない。しかし、公は表情も変えず、短い労いの言葉をかけただけだった。
「お気に召しませんの?」姫は小声で聞いた。
「ああ、私はおべんちゃらは嫌いなんだ。」公は露骨にいやな顔をした。「へどがでそうになる。」
姫の顔を見て、流石に公もばつの悪い顔をした。姫は、ヘルマン一世の半生に思いをはせた。諸国を渡り歩き、文字通り戦場に寝起きした傭兵時代、ゴートベルグ公国のためセシリア・ヴァルバラ姫とともに戦いに明け暮れた日々。ゴートベルグ公夫妻には宮廷文化を育てる余裕など無かったのだ。そのことを、自分は考えもしなかった。姫は、今まで公に対してとった態度を思うと申し訳ない気持ちになるのだった。
 
ゴートベルグ城に帰ったその夜から、マルガレーテ姫は高熱を出した。
熱に魘されながら、姫は自分が情けなかった。もし、自分が死ぬようなことがあれば、どんな風評が立つだろうと思うと、公に対し申し訳ない気持ちで一杯になるのだった。今は死ねない。その気力だけで、姫は持ちこたえているようだった。
「どうだい。ピエール。この話、どう思う?」
金髪碧眼のいかにも貴族的な顔立ちの青年が声をかけた。
「そうだなあ。」
ピエールと呼ばれた青年は、ソファーから起きあがると、部屋を歩き出した。部屋といってもかなり広く、ホールといってもいいそこには肖像画が何枚も掲げられていた。その肖像画を見ながら、ピエールは、少し考えていたようだが、おもむろに口を開いた。
 

ある日、友人がこんなことを話しました。
「昔々、ある小国に、高貴な身分のあるお姫様がおりました。しかし、ある時、領土問題で隣国の親子ほども離れた王といやいやながら結婚しなければならなくなり、でも、彼女には愛を誓った身分違いの騎士がいて・・・さあ、続きを書いてみて。」

とても面白そうな設定だったので、勢いで書いたのが、この「肖像画の佳人」です。
最初は、お姫様と騎士がめでたく結ばれてハッピーエンドとしたかったのですが・・・
書いていて、正義の味方が出てこないと、話がまとまらない・・・そんな設定は面白くないし;;;
駆け落ちは?二人で異国の土地で末永く幸せに・・・・
ダメダメダメ;;;花嫁に逃げられた隣国の王様が、怒り狂って攻め込んでくる;;;リーフェンシュタール公国は本当に丸焼けになるかも;;;

それじゃあ、もう、あきらめてその王様と結婚してもらうしかない;;;
お姫様なら、お市の方やエカテリーナ女帝みたいに、政略結婚は当たり前、敵国で自分の地位を確立するのも、姫君の腕の見せ所だろうし・・・
そう考えて、楽しんで書いた初めてのロマンス小説です。
検索サイトから多くのお客様に来て頂き、本当に有り難うございました。

楚漢の戦いに決着がついて早二年、劉邦、彼は既に帝位につき高祖となっている、は、宮殿から悠然と城内を見下ろしている。長年の戦いに倦み疲れた中原にも、ようやく太平の御代がやってきたのである。
農民の出であった儂が、ようもここまで。
劉邦は、自分の強運に感心するばかりである。
「陛下・・・」侍従が恭しく冠を差し出した。
謁見の刻限が近いのだ。皇帝とは窮屈なものだな、高祖はふと考える。そのような所は、沛公と呼ばれたころのままだった。
戦端が開かれた。

漢軍は匈奴の陣を取り囲み、一斉に攻撃を開始した。それが、漢軍と匈奴との初めての本格的な戦闘となった。匈奴の兵のほとんどが馬に乗り、漢軍に矢を放った。しかし、漢軍が歩兵で攻め立てると、匈奴は一騎、二騎と戦線を離脱し始め、やがて総崩れとなり雲散霧消した。
やはり野盗の群れなのだ。漢の将兵達は嘲った。この戦いにより、将兵達の匈奴に対する恐怖心は消え去った。

まるで、彭城の戦の折りの我が軍のようだな。高祖は苦笑した。あの時、項羽は漢の主力を精鋭3万で叩き、56万の軍勢を、まさに蜘蛛の子を散らすように蹴散らした。あれほどあっけなく破れたのは、漢軍が群雄の集まりで忠誠心というものがなかったからだ。蛮族も同じなのだろう。いや、禽獣の心しか持っていないような輩であれば、目先の利にしか動く事はあるまい。
白登山に月が昇る。

吹き付けていた風も収まり、代わりに、底冷えのする寒気が降りてきた。高祖は外衣を二枚まといながら震えている。

咳下がいかの籠城戦のようじゃのお。」彼は陳平に話しかけた。

「しかし、あの匈奴の子わっぱめ、
ときの声なんぞ聞かせおって、無粋な奴じゃ。せめて歌でも聴かせる才覚が欲しいのぉ」高祖は勢いよくくしゃみをした。

「陛下。」高祖の空元気に、陳平は苦笑している。

しかし、この空元気が、ここの兵達にとってどれほど心強いことだろう。そうだ。絶体絶命の危機を幾度も謀略で乗り切ったではないか。力がだめならば、あとは頭を使うのみである。
陳平の奇策。

すなわち、冒頓単于の
閼氏あつし(皇后)を籠絡し、彼女を使って匈奴の王に和睦を認めさせるというものであった。ために、陳平は高価な贈答品を副使に密かに与えた。さらに、驚くべき奇策をも副使に授けていたのである。
師走にはいると、木枯らしが急に強くなった。それに促されるように、街を行く人々も慌ただしさが増した。毎年の事ながら、新年を迎える準備が始まっている。子供達は楽しげに、大人達は年越しのやりくりを思案しながら往来を行き交った。その日も、冬晴れの大気はしんしんと冷えていた。薄明の中、家々にぽつぽつと灯りがともり、眠っていた街が目覚め始めていた。人々は、いつもの通りNHKのラジオ放送を時計代わりにしながら、朝の支度にいそしんだ。



カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新CM
[08/27 涼]
[08/27 えいと]
最新TB
プロフィール
HN:
性別:
非公開
自己紹介:
歴史好きの管理人の小説と日記
太平洋戦争関係の二次創作&オリジナル小説を書いています。
また、中世~近現代のロマンス小説も書きます。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
Copyright(c) 遥かなる空 All Rights Reserved.* Powered by NinjaBlog
* photo by 空色地図 * material by flower&clover *Template by tsukika
忍者ブログ [PR]