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リーフェンシュタール公国は、三方を山に囲まれた扇状地に発達した国である。領土は狭いながら、温暖な気候と肥沃な土地に恵まれていた。リーフェンシュタール公国の特産物というと葡萄酒があげられるであろう。キプロス産のものにも劣らないという名声は遠くローマまで伝わっていた。公国の南の国境はゴートベルグ公国である。この地方随一の強国であり、また、海洋貿易の拠点を抑えるゴートベルグとの関係は、微妙なものであったが、代々の領主の外交手腕により、ここ百年ほどは友好的に推移しつつあった。
しかし、ここに来て情勢は一変しつつある。
ゴートベルグ公国恒例のお家騒動に端を発した内紛は、思いもかけない事態となった。もともと、大国であったゴートベルグ公国には、大貴族達の争いが絶えず-それが、リーフェンシュタール公国には幸いとなっていたのだが-傭兵隊長達の稼ぎ場と化していた。その中の、ヘルマンという若者が、ときのゴートベルグ公の娘婿におさまった。公の急死-これもヘルマンによる毒殺との風評が高い-により、ゴートベルグ公となったヘルマンは、時を移さず大貴族達を全て粛正、領土のほとんどを公の直轄地としたのであった。「ヘルマン残虐公」、あるいは「血のヘルマン」と異名をとる、ヘルマン一世の誕生であった。今から、十八年前のことである。
反発する近隣諸国との戦闘でも、ヘルマン一世の軍事的才能は遺憾なく発揮された。やがて、彼の軍隊は「郡狼騎士団」と呼ばれるようになる。黒の鎧に身を包み、黒い馬に乗る彼の姿はまさに「死神」であった。そのヘルマン一世が、ここリーフェンシュタール公国に狙いをつけてきたのであった。
リーフェンシュタール公夫妻は十年ほど前に他界し、実権は公の弟である摂政ヴィルヘルム伯が握っていた。彼はヘルマンの要求を受け入れ、貢ぎ物を送ることで、その野望をかわそうとした。しかし、このヴィルヘルム伯の外交に憤った若い貴族達は、ゴートベルグ領に攻め込んだのである。その中心が騎士ローランドであった。
リーフェンシュタール軍侵入。
ヘルマン一世にとって、これは想定されたことであった。彼は、「郡狼騎士団」を用い、ローランド率いる若いリーフェンシュタールの騎士達を撃破、勢いを駆ってリーフェンシュタール公国の南半分を制圧したのである。リーフェンシュタール城が落ちるのは時間の問題であった。しかし、ヘルマン一世はヴィルヘルム伯に休戦を申し入れた。
条件付きで、リーフェンシュタール公国との和平条約を結ぼうというのである。
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太平洋戦争関係の二次創作&オリジナル小説を書いています。
また、中世~近現代のロマンス小説も書きます。