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管理人の時代小説?や、二次創作小説、ロマンスなどを書いていきます。
史実と違う点が多々あると思いますが、ご容赦ください。
また、太平洋戦争関係が多いのですが、戦争を賛美するものではないので、その点ご配慮お願い致します。
>おしらせ
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歴史小説「海 ゆくとき」 連載開始しました。カテゴリー 太平洋戦争・海軍編 をクリックしてご覧下さい。
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海 ゆくとき http://ncode.syosetu.com/n0195h/
白 登 山 http://ncode.syosetu.com/n5449f/
肖像画の佳人 http://ncode.syosetu.com/n8254e/
記憶の淵に http://ncode.syosetu.com/n8545e/
少年が、まだ小学生だった頃のことだ。幼なじみのゴロー、ケンタ、サブといつも彼は一緒だった。
その年の4月、珍しく、新しい先生が彼らの村にやってきた。若い男の先生だった。彼らはすぐにその青年と仲良くなった。
坊ちゃん先生、子供達は親しみを込めて新しい先生をそう呼んだ。
その日の午後、4人はいつものように補給基地に集まった。
「一平お祖父さんもか。ウチの父さんも母さんも可哀想にって言ったきり何にも言わないんだ。」
「ウチのじいちゃん、二度と聞くなって怒鳴り散らすんだぜ。」ゴローは憮然としていった。
「母さん、インパール作戦っていってたよ。」
私が小学生だった頃、漫画ではよく太平洋戦争の話が載っていました。というよりストーリーの余り無かったあのころの漫画で一番印象に残っているのが、楳図一雄の恐怖漫画と戦争物だったのかも知れません。
A市、F県の中心部にある古い城下町である。市の東側には広大なI湖がある。三方を山に囲まれた盆地に位置するため、夏は暑く冬は寒い。市の中心部に歴史あるA城がある。A城の近くに、坊ちゃん先生こと、長井聡一郎の赴任したA高校があった。もとは藩校にさかのぼる伝統ある男子校である。聡一郎もまた、A高で学生生活を送ったのであった。
懐かしい母校で、彼は教鞭を執った。学生時代、鍛錬に励んだ剣道部の門を、今度は顧問として、潜ることとなり、彼の感慨は一塩であった。後に彼は、厳しい稽古で「鬼の長井」の異名を取ることになるのだが、当時は、その片鱗を見せ始めた頃であった。
リーフェンシュタール公国は、三方を山に囲まれた扇状地に発達した国である。領土は狭いながら、温暖な気候と肥沃な土地に恵まれていた。リーフェンシュタール公国の特産物というと葡萄酒があげられるであろう。キプロス産のものにも劣らないという名声は遠くローマまで伝わっていた。公国の南の国境はゴートベルグ公国である。この地方随一の強国であり、また、海洋貿易の拠点を抑えるゴートベルグとの関係は、微妙なものであったが、代々の領主の外交手腕により、ここ百年ほどは友好的に推移しつつあった。
しかし、ここに来て情勢は一変しつつある。
ゴートベルグ公国恒例のお家騒動に端を発した内紛は、思いもかけない事態となった。もともと、大国であったゴートベルグ公国には、大貴族達の争いが絶えず-それが、リーフェンシュタール公国には幸いとなっていたのだが-傭兵隊長達の稼ぎ場と化していた。その中の、ヘルマンという若者が、ときのゴートベルグ公の娘婿におさまった。公の急死-これもヘルマンによる毒殺との風評が高い-により、ゴートベルグ公となったヘルマンは、時を移さず大貴族達を全て粛正、領土のほとんどを公の直轄地としたのであった。「ヘルマン残虐公」、あるいは「血のヘルマン」と異名をとる、ヘルマン一世の誕生であった。今から、十八年前のことである。
リーフェンシュタール城では、今、群臣達の会議が始まったところであった。
「ヴィルヘルム伯。このような条件をのめとおっしゃるのですか。」誰かが叫んだ。「それでは、あまりに・・」
ヴィルヘルム伯は気品のある顔立ちを曇らせた。白髪のかかった額に苦悶のしわが寄る。
「しかし、他に方法はない。もし、拒絶すれば、リーフェンシュタールは焦土と化すだろう。」
「戦わずして、このリーフェンシュタール公国を手中に収めようというのか。何と狡猾な・・」若い貴族が叫んだ。
「黙らっしゃい。そもそも今度のことは、みんな、そなた達の短慮から起きたことじゃ。」
ヴィルヘルム伯は一括した。
「傭兵上がりのあの男に、そなた達が叶うはずもないだ。それを挑発に乗りおって・・」
貴族の一人が怒りの声を上げた。それを遮るように、ヴィルヘルム伯は続けた。
「もう良い、覆水盆に返らずじゃ。だがどうあっても、マルガレーテ姫には、」
「いやです。」
中央の玉座に座っていた若い姫君は叫んだ。栗色の髪が豊かにうねり、生き生きとした瞳の印象的な美しい乙女である。華奢ですらりとした姿、全身を包む紫の衣装は色白の肌に良く合っていた。その乙女が、今怒りに震えながらヴィルヘルム伯を見つめていた。
乙女の名はマルガレーテ。彼女は、先代のリーフェンシュタール公の一人娘であり、公国の正当な王位継承者であった。
無理もない。
ヴィルヘルム伯は、美しい姪に科せられた運命に同情した。このように美しい乙女、花の盛りの姫をあの傭兵上がりの人身御供に捧げるとは、しかし・・
「あのような年上の方の所へ嫁ぐなど、私は、私は・・」
「しかし、姫、二十や三十、年の離れた夫婦など、世間にはいくらでもございます。」
「いやです。私には・・」マルガレーテ姫は言葉を飲み込んだ。
「リーフェンシュタールのためですぞ。聞き分けてもらいますぞ。今のそのご様子を亡き兄上が見ればさぞ、」ヴィルヘルム伯も必死だった。
「お父様が生きておいででしたら、このような恐ろしいことは断じてなさらないでしょう。」そう叫ぶと、マルガレーテ姫は外に飛び出した。
「姫!」慌てる群臣達をヴィルヘルム伯が制した。
「マルガレーテ姫は、ご自身の本分は十分、解ってらっしゃる。」
マルガレーテ姫は、中庭に佇んでいた。辺りはすでに暗くなり、月が煌々と照らしている。月の光で、姫の顔はいっそう蒼白く見える。
断ることなどできるはずもない。でも・・
マルガレーテ姫はヘルマン一世を嫌悪していた。初めて公と出会ったときのことを思い出す。忘れもしない五年前の、新年祝賀会の席上だった。十三歳になったばかりの姫が公と初めて出会ったのは。あの時、不躾な視線を感じて振り向いた彼女の目が、ゴートベルグ公の姿をとらえた。質素な黒い服に身を包み、群を抜いて背の高い、逞しい体つきの男であった。獲物をねらう猛禽のような風貌、彼女の知っていた貴族達とは全く違う、戦場の匂いのする騎士だった。公は姫と目が合うと、薄い笑いを口元に浮かべながら、会釈した。あの冷酷な眼差しが忘れられない。その瞳を思い出すと、今でも全身が総毛だった。あの絡め取るような薄い銀色の瞳、どんな猛獣でも、もう少し優しい瞳をしているのではないか。
そんな殿方と私は・・
「マルガレーテ姫。」品の良い若い男の声がした。
年の頃二十ぐらいの、アポロンのような美しい騎士が泉水のそばに立っていた。
「ローランド。」彼女は騎士に駆け寄った。月明かりの中で互いを見つめ合い、抱擁を交わした。
「よくご無事で・・」騎士の胸に顔を埋める。
「許して下さい。少しでも、あなたにふさわしい男となろうと、それがあなたを」
騎士の顔が苦悩にゆがむ。二人は、前から思い合う仲であった。しかし、一介の騎士に過ぎないローランドは、世継ぎの姫にふさわしい相手ではない。彼は、焦った。この焦りが、無謀とも思えるゴートベルグ進撃に、彼を駆り立てたのであった。
「良いのです。もう、何も・・」
騎士は、姫をきつく抱きしめた。甘美な口づけ、柔らかな髪、少年の面差しの残る頬。今宵限り、もう二度と、この腕に抱かれることは叶わないかも知れない。姫は騎士の抱擁を受け入れた。
「連れて行って、私を、どこか知らないところへ」姫はつぶやいた。
「マルガレーテ姫?」一度口に出してしまうと、姫の決心は固まった。
「二人で、どこかに。あなたさえいて下されば、私は・・」栗色の瞳が騎士を見つめた。
騎士は、しばらく見つめていたが、やがて頷いた。
「解りました。では、いつ。」
「今、すぐに。」騎士は、驚いている。「遅くなればなるほど逃げられなくなりますわ。さあ、速く。」
姫に気圧されるように、騎士は答えた。
「では、参りましょう。マルガレーテ姫。」
その時だった。
マルガレーテ姫が、ゴートベルグ公国に嫁ぐことが決まり、リーフェンシュタール公国の領民は悲しみに沈んだ。人質として敵国に行かされることは誰の目にも明らかであった。人々は、若く美しい姫の苛酷な運命に涙した。
「リーフェンシュタールのために、犠牲になられて・・」
それは、城内でも同じであった。廷臣達は事あるごとに、その言葉を口に出した。
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太平洋戦争関係の二次創作&オリジナル小説を書いています。
また、中世~近現代のロマンス小説も書きます。